特別課題:化学技術により防災・減災および復旧・復興に貢献する研究 |
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『震災後の避難所生活短縮のための光ファイバ型高速分布センサの機能進化』 |
東京工業大学 科学技術創成研究院
未来産業技術研究所
水野 洋輔 |
第6回新化学技術研究奨励賞を賜り、心より感謝申し上げます。震災後に被災者の方々の避難所生活が長引く原因の一つは、「一見すると損傷を受けていないように見える住宅が真に安全であるのか」の行政判断にあります。現状では、少数の専門家が打音調査等を行うため、判断基準が曖昧な上、多大な時間を要してしまいます。そこで本研究では、長い光ファイバに沿った任意の位置で歪(ひずみ)や温度を測定できる「分布型光ファイバセンサ」により、この問題を解決することを目指します。
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課題1:グリーンイノベーションを推進するための資源・プロセス・評価技術に
関する環境技術の研究 |
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『革新的光触媒の創成に向けた励起キャリア観測システムの確立』 |
慶応義塾大学 理工学部
吉田 真明 |
この度は栄えある第6回新化学技術研究奨励賞に選出いただき、心より感謝申し上げます。本研究課題では、触媒が作動している状態を調べる「オペランド分光法」によって、水分解光触媒内に生成した励起キャリアの移動を調べることを目的としています。これまでブラックボックスになっていた光触媒の素過程を明らかにするべく、今回の受賞を大きな励みとしてこれまで以上に研究に邁進していきたいと思っております。
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課題2:新しい資源代替材料・技術の創製、および資源の節約・回収・再利用に
関する基盤的研究(エネルギー資源、食料・水資源を含むものとする) |
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『融点および潜熱量がサイズに依存するナノ蓄熱カプセルの創製』 |
岡山大学 大学院自然科学研究科
山田 寛 |
第6回新化学技術研究奨励賞に選出いただき,大変光栄に存じます.審査委員および関係者の方々に心より御礼申し上げます。本研究テーマでは、固液の相変化を通じて熱を貯蔵する物質をナノスケールのカプセルに閉じ込めることで、その融点や蓄えられる熱量(潜熱量)を変える技術の確立を目指します。この目標達成に向けて日々研究に邁進し、未利用の排熱エネルギーを資源として有効活用する社会の実現に貢献します。
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課題3:バイオマスの構造を活かした高機能な材料・化学品に関する研究
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『天然ナノ繊維の流動場制御による高指向性伝熱特性の発現』
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立教大学 理学部
上谷 幸治郎 |
第6回新化学技術研究奨励賞に選出いただき、心より御礼申し上げます。本研究では、バイオマス由来のセルロースナノ繊維に見出された高い熱伝導特性を基軸として、異方的な伝熱特性を発現する材料開発に取り組みます。従来より断熱材と考えられてきたバイオマス素材に特徴的な伝熱特性を発現させ、伝熱材料に上手く変換する試みを通して、まったく新しい切り口によるバイオマスの高度利用を推進してまいります。
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課題4:創電・エネルギー貯蔵分野における革新素材・技術に関する研究 |
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『弾性変形するナノ多孔体を利用した水の相転移に基づく革新的ヒートポンプの開発』
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東北大学 多元物質科学研究所
西原 洋知 |
第6回新化学技術研究奨励賞の受賞の栄誉にあずかり、大変光栄に存じます。本研究では、数ナノメートル以下の微小な孔をもちスポンジのように柔らかく変形・復元する新材料を利用し、新型のヒートポンプの設計と開発を行います。吸着式ヒートポンプとは全く異なり、スポンジ材料への応力印加による液体と気体の相互変換を利用します。環境に優しい水やアルコールを用いた空調機の実現に向け、研究を進めて参りたいと思います。
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課題5:エレクトロニクスの未来を支える新規材料・技術・プロセスに関する研究 |
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『交差応答的な分子認識情報の並列処理を指向した有機トランジスタ型センサアレイシステム』
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東京大学 生産技術研究所
南 豪 |
第6回新化学技術研究奨励賞にご選出いただきましたこと,大変嬉しくかつ光栄に存じます。本研究では,簡易な多成分分析の実現に向けて,人工分子レセプタを修飾した有機トランジスタ型化学センサアレイによるハイスループット分析法の開発を行います。得られた膨大なデータにパターン認識・機械学習処理を施すことで,夾雑系中の生体分子種の迅速検出に挑戦します。
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課題6:マイクロナノシステム用途の拡大につながる新規な材料・プロセス及び
デバイス技術に関する研究
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『細胞内環境を模倣したマイクロ流体システム開発によるX線1分子動態計測の新展開』 |
京都大学 大学院工学研究科
平井 義和 |
この度は第6回新化学技術研究奨励賞に選出いただき、誠にありがとうございます。本研究はイオンチャネル蛋白質の構造変化を「動画」計測できるX線1分子動態計測法によって、イオンチャネルの1分子ゆらぎと開閉構造変化の相関関係の解明を目指します。マイクロ流体デバイスによってイオンチャネルの実際の動作環境に近い状態を模倣し、かつ精密に制御することで、将来的に生命活動の根幹の理解につながる先端計測技術の確立につなげたいと考えています。
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課題7:高効率物質生産に必要な新規なバイオプロセスの構築に関する研究 |
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『人工遺伝子回路を利用した遺伝子制御動態リプログラムによる動的代謝工学基盤の構築』 |
九州大学 生体防御医学研究所附属
トランスオミクス医学研究センター
相馬 悠希 |
この度は、第6回新化学技術研究奨励賞に選出頂きまして誠にありがとうございます。微生物を用いたバイオプロセスを効率化するには、内在性代謝と目的の化合物生産経路それぞれの活性を適切に制御し、両者のトレードオフ関係を解消しなければなりません。本研究では、遺伝子発現制御ツールである人工遺伝子回路を用いて微生物代謝動態を制御するための技術基盤を構築することで、微生物バイオプロセスの効率化に貢献を目指します。
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課題8:生体分子を利用した、またはその構造と機能に着想した新規機能性材料の
実用化を目指した研究 |
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『細菌由来のシリカ結合ペプチドを利用した、多孔質シリカ材料への高密度タンパク質充填によるカラム型バイオリアクターの開発』 |
広島大学 先端物質科学研究科
池田 丈 |
この度は第6回新化学技術研究奨励賞を賜り、誠に光栄です。本研究では、細菌由来のシリカ(SiO2)結合ペプチドを接着分子としたシリカ表面へのタンパク質固定化技術を核として、複数種の酵素による多段階の物質変換反応を効率的に触媒するカラム型バイオリアクターの開発に取り組みます。多孔質シリカの細孔内に複数種の酵素を高密度に充填・集積化したナノ空間を構築することで、高効率の物質変換反応を実現したいと考えています。
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課題9:計算化学・計算科学・データ科学を用いた先導的な材料設計・解析・
評価の研究
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『水素吸蔵性合金ナノ粒子内の有効空隙最大化を目指した第一原理的水素吸蔵空間可視化法の開発とその応用』 |
お茶の水女子大学 基幹研究院自然科学系
森 寛敏 |
この度は、第6回新化学技術研究奨励賞に選出頂き誠に光栄に存じます。低環境負荷エネルギー源として期待される水素エネルギーの開発分野では、水素吸蔵性ナノ合金の開発が進められています。しかし、水素がナノ合金内に吸蔵される様子をその場観察することは困難です。本研究では、水素吸蔵性ナノ合金中の水素吸蔵空間を電子状態理論に基づき簡便に可視化する手法を開発します。水素吸放出特性により優れたナノ合金を高精度予測に予測する手法を開発することで、水素吸蔵材料の開発を先導します。
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課題10:日本のものづくり強化と新産業創出に資する「新素材」実現のための
基礎的・基盤的研究
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『ナノカーボンの化学修飾が創り出す近赤外発光性新素材』
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九州大学 大学院工学研究院
白木 智丈
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第6回新化学技術研究奨励賞に採択頂き、心より感謝申し上げます。本研究では、日本で発見されたカーボンナノチューブを新しい発光性ナノ素材に作り上げる化学修飾技術を開発します。本素材は、修飾する分子の設計に基づいてナノチューブの発光特性を多様にデザインでき、近赤外領域に現れるその発光は生体イメージングをはじめ様々な先端技術分野で有用なものです。以上の化学とナノカーボンの力で日本発の技術・産業の創出に貢献して参ります。
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課題11:革新的触媒技術による次世代グリーンイノベーションに関する研究 |
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『光駆動型触媒によるCO2固定化反応の開発』
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京都大学 大学院工学研究科
石田 直樹
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このたびは第6回新化学技術研究奨励賞に選出いただきまして、誠にありがとうございます。本研究では、これまで反応性に乏しいとされてきた炭化水素と二酸化炭素を直接反応させてカルボン酸を合成する光エネルギー駆動型触媒の開発に取り組みます。これにより、炭化水素と二酸化炭素を炭素資源として活用する有機合成手法の創出を目指します。
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