HOME 募集・表彰 新化学技術研究奨励賞 第3回新化学技術研究奨励賞


各種募集

第3回新化学技術研究奨励賞

第3回新化学技術研究奨励賞の受賞者は、厳正なる審査の結果、以下のように決定しました。
受賞者の皆様、おめでとうございます。
また、多数のご応募を頂き、ありがとうございました。

特別課題:東日本大震災からの復旧・復興に貢献する化学技術に関する研究
 北海道大学大学院工学研究院 松島 永佳
  『燃料電池技術を応用した省電力型水電解法によるトリチウム回収技術の研究』
 近畿大学理工学部 山崎 秀夫
  『福島第一原発事故による環境放射能汚染の動態評価とその除染技術への適用』

課題1:グリーン・イノベーションを推進するための資源・プロセス・評価に関する環境技術の研究
 該当者無し

課題2:新しい資源代替材料・技術の創成、及び資源の回収・再利用に関する基礎研究(エネルギー資源、食料・水資源を含むものとする)
 東京大学大学院総合文化研究科 岡澤 厚
  『希土類フリーな硬質分子磁石の創製を目指した基盤的研究』

課題3:バイオマス由来の特徴を活かした高機能材料及び化学品に関する研究
 鳥取大学大学院工学研究科 伊福 伸介
  『高強度キチンナノファイバー多孔体を用いた骨再生用足場材料の開発』

課題4:エネルギー貯蔵、輸送および変換における革新素材・技術に関する研究
 理化学研究所環境資源科学研究センター 遠藤 慶徳
  『多金属ヒドリド錯体を用いた革新的なアンモニア合成触媒の開発』

課題5:スマート社会を目指した環境と人にやさしいデバイス技術およびその材料技術に関する研究
 名古屋工業大学産業戦略工学専攻 宮川 鈴衣奈
  『フェムト秒レーザーを用いた半導体基板の表面処理及びエピタキシャル成長の新規手法の開発』

課題6:MEMS用途の拡大につながる新規な材料、プロセスおよびデバイス技術に関する研究
 東京農工大学大学院工学研究院 許 允禎
  『細胞移植フラットフォームの開発に向けたTetra-PEGハイドロゲルのマイクロ流体チャンネルの作製及びその中での毛細血管新生』

課題7:高効率物質生産を目指した新規なバイオプロセスの構築に関する研究
 大阪大学生物工学国際交流センター 木谷 茂
  『微生物ゲノムに潜む休眠生理活性物質の生産覚醒』
 大阪府立大学大学院工学研究科 山田 亮祐
  『コンビナトリアルメタボリックエンジニアリング−物質生産を指向した酵母細胞内代謝フラックスの最適化−』

課題8:生体分子の構造と機能に着想する新規機能性材料の実用化を目指した研究
 京都大学学際融合教育研究推進センター 山田 久嗣
  『安定同位体集積化高分子プローブの開発と革新的分子標的磁気共鳴イメージングへの応用』

課題9:界面における材料特性維持・向上の計算科学による研究
 該当者無し

課題10:日本のものづくり強化と新産業創出に資する「新素材」実現のための基礎的・基盤的研究
 東京大学大学院理学系研究科 坂本 良太
  『エレクトロニクス・スピントロニクスへ応用可能な「ボトムアップ型」金属錯体ナノシート』

課題11:化学プロセスに変革をもたらす物質・材料(化学プロセス材料)に関する研究
 横浜国立大学大学院工学研究院 金井 俊光
  『マイクロ流体デバイスによる高単分散中空セラミックス微粒子の作製』


第3回新化学技術研究奨励賞の審査委員は以下の通りです。
(敬称略 所属、役職は、審査委員会時点のものです)

株式会社カネカ 取締役 専務執行役員       永野 廣作
公益財団法人北九州産業学術推進機構 理事長    國武 豊喜
量子化学研究協会 理事長(京大名誉教授)     中辻 博
中部大学 環境生物学科 客員教授(名大名誉教授) 山根 恒夫
独立行政法人物質・材料研究機構 理事       曽根 純一
大阪大学 名誉教授                柳田 祥三
放送大学 客員教授(東工大名誉教授)       秋鹿 研一
DIC株式会社 フェロー             西江 晴男



【2013年度新化学技術研究奨励賞 受賞研究の紹介】

特別課題:東日本大震災からの復旧・復興に貢献する化学技術に関する研究
燃料電池技術を応用した省電力型水電解法によるトリチウム回収技術の研究
北海道大学大学院工学研究院
(元 山梨大学医学工学総合研究部)
松島 永佳
 この度は第3回新化学技術研究奨励賞にご採択頂き、心よりお礼を申し上げます。将来の水素エネルギー社会に向けて、燃料電池や水電解の技術開発は盛んにされております。本研究課題では、その水素エネルギー技術を応用した福島汚染水処理の根本的解決を目指します。従来、利用されていなかった水素ガスを燃料電池発電に再利用することで、電気エネルギー回収を実現し、高効率かつ省電力型プロセスによる水素同位体分離技術の確立に挑みます。
福島第一原発事故による環境放射能汚染の動態評価とその除染技術への適用
近畿大学理工学部
山崎 秀夫
 第3回新化学技術研究奨励賞を賜り、心より感謝申し上げます。福島第一原発事故による環境放射能汚染は、ヒトや生態系の放射線被ばくに直接影響するので、放射性物質の環境動態を正しく把握できないと、放射能の除染や管理・保管を適切に実施できません。今後、50基以上の原発が次々と廃炉を迎え、今回の事故とは比較にならない莫大な量の放射性物質を取り扱うことになります。放射性物質の環境動態を厳密に評価する方法の確立を目指して、研究を進めてまいります。
課題1:グリーン・イノベーションを推進するための資源・プロセス・評価に関する環境技術の研究
該当者無し
課題2:新しい資源代替材料・技術の創成、及び資源の回収・再利用に関する基礎研究(エネルギー資源、食料・水資源を含むものとする)
希土類フリーな硬質分子磁石の創製を目指した基盤的研究
東京大学大学院総合文化研究科
岡澤 厚
 この度は、第3回新化学技術研究奨励賞という大変栄誉ある賞に選出頂きまして誠にありがとうございます。本研究では、磁石産業が直面する資源問題の解決のため、従前の無機磁石開発とは異なるアプローチとして、普遍元素で構成される有機物を積極的に取り入れた「希土類フリーな高性能磁石の創製」を目指します。自らの強みを活かした分子設計によって、室温級に強い磁気的相互作用を高次元化するための基盤的研究を行い、希土類磁石の代替となり得る性能を有した新規材料の開発に取り組んで行きます。
課題3:バイオマス由来の特徴を活かした高機能材料及び化学品に関する研究
高強度キチンナノファイバー多孔体を用いた骨再生用足場材料の開発
鳥取大学大学院工学研究科
伊福 伸介
 栄誉ある化学技術研究奨励賞を採択して頂き誠に光栄に存じます。本研究では独自に開発したキチンナノファイバーの微細な形状と優れた力学的強度、多彩な生体機能を活かし、ハイドロキシアパタイトと複合した骨再生のための足場材料を開発します。成形外科や歯科治療において優れた成形性を有し、骨欠損部において足場として骨を再生します。そのような新規の骨再生材料を開発し、人々の骨や歯の健康を増進することを目的としています。
課題4:エネルギー貯蔵、輸送および変換における革新素材・技術に関する研究
多金属ヒドリド錯体を用いた革新的なアンモニア合成触媒の開発

理化学研究所環境資源科学研究センター
遠藤 慶徳
 この度は、第3回新化学技術研究奨励賞を頂き、誠にありがとうございます。アンモニアはクリーンなエネルギー輸送媒体、とくに水素キャリアとして近年注目を集めています。本研究では、多金属ヒドリド錯体の高い窒素分子活性能を基盤とし、常温・常圧で進行する革新的なアンモニア合成触媒の開発に取り組みます。本触媒系は、変換によるエネルギー損失の低減化を実現し、効率的なエネルギー利用の普及に貢献できると期待されます。
課題5:スマート社会を目指した環境と人にやさしいデバイス技術およびその材料技術に関する研究
フェムト秒レーザーを用いた半導体基板の表面処理及びエピタキシャル成長の新規手法の開発
名古屋工業大学産業戦略工学専攻
宮川 鈴衣奈
 第3回新化学技術研究奨励賞に採択していただき、感謝申し上げます。本研究は、次世代半導体デバイスの高耐圧・高周波需要に応えるワイドギャップ半導体基板の、表面処理と結晶成長の新規手法の確立を目的としております。レーザー励起効果を利用して、基板表面の原子配列の乱れの除去とNH3レス窒化物半導体成長を試み、材料物性を最大限活かすデバイスの実現を目指します。
課題6:MEMS用途の拡大につながる新規な材料、プロセスおよびデバイス技術に関する研究
細胞移植フラットフォームの開発に向けたTetra-PEGハイドロゲルのマイクロ流体チャンネルの作製及びその中での毛細血管新生
東京農工大学大学院工学研究院
許 允禎
 高齢化社会に迎え、再生医療・遺伝子改変細胞療法・幹細胞治療は近年目覚しい発展の途上にあり、糖尿病・癌などの難病の治療への貢献が強く期待されている。本研究では、3次元人工組織を作製するため、高剛性のtetra-polyethylene glycolハイドロゲルを用いてマイクロチャンネルがある構造を構築し、その中に血管内皮細胞を3次元培養することを提案する。この構造は血管再生を促進し、3次元人工組織移植のプラットフォームへ応用できると期待する。
課題7:高効率物質生産を目指した新規なバイオプロセスの構築に関する研究
微生物ゲノムに潜む休眠生理活性物質の生産覚醒
大阪大学生物工学国際交流センター
木谷 茂
 この度は、第3回新化学技術研究奨励賞を賜りまして、光栄に存じます。本課題では、生理活性物質を産生する微生物を対象に、潜在する物質生産能力を覚醒させ、新規有用物質を発見すること、またその高生産システムを構築することに取り組みます。まずは、物質生産を調節するシグナルを活用し、休眠する生理活性物質を発掘することを目指します。さらに、覚醒物質の生合成遺伝子群を安定的に発現させ、休眠物質の生産効率化を目指します。
コンビナトリアルメタボリックエンジニアリング−物質生産を指向した酵母細胞内代謝フラックスの最適化−
大阪府立大学大学院工学研究科
山田 亮祐
 この度は、第3回新化学技術研究奨励賞にご採択頂き、誠にありがとうございます。本研究では、再生可能資源である植物バイオマス由来の糖から、様々な有用物質を生産する事を目指し、遺伝子組換え技術により、広範囲に渡る酵母細胞内の代謝フラックスを改変する、新しい技術を開発することを目標としております。今回の受賞を大きな励みとし、今後も研究に邁進していきたいと思います。
課題8:生体分子の構造と機能に着想する新規機能性材料の実用化を目指した研究
安定同位体集積化高分子プローブの開発と革新的分子標的磁気共鳴イメージングへの応用
京都大学学際融合教育研究推進センター
山田 久嗣
 この度は、第3回新化学技術研究奨励賞に採択頂き誠にありがとうございます。本研究では、次世代の磁気共鳴イメージング(MRI)を実現する分子プローブとして、生体の細胞膜脂質骨格の一部を13C核と15N核で標識し、高い選択性と高い感度を併せ持ち生体適合性に優れた高分子プローブを開発します。癌に選択的に集積する新規高分子プローブを独自の方法で創製し、被曝の恐れなく、癌の早期診断を可能とする革新的な分子標的MRI法の確立を目指します。
課題9:界面における材料特性維持・向上の計算科学による研究
該当者無し
課題10:日本のものづくり強化と新産業創出に資する「新素材」実現のための基礎的・基盤的研究
エレクトロニクス・スピントロニクスへ応用可能な「ボトムアップ型」金属錯体ナノシート
東京大学大学院理学系研究科
坂本 良太
 第3回新化学技術研究奨励賞を頂戴し、光栄であるとともに身の引き締まる思いです。有機配位子と金属イオンから織り上げる「ボトムアップ型」金属錯体ナノシートは、構成要素の自在な組み合わせにより目的に応じたナノ材料となりうる新素材です。本研究では「ボトムアップ型」金属錯体ナノシートのエレクトロニクス・スピントロニクスへの応用展開、具体的には電界効果トランジスタ、フォトダイオード、トポロジカル絶縁体などの構築を追究します。
課題11:化学プロセスに変革をもたらす物質・材料(化学プロセス材料)に関する研究
マイクロ流体デバイスによる高単分散中空セラミックス微粒子の作製
横浜国立大学大学院工学研究院
金井 俊光
 この度は第3回新化学技術研究奨励賞に選出して頂き、誠にありがとうございます。本研究では、マイクロメートルからミリメートルサイズの中空セラミックス微粒子の新しい作製プロセスの開発を行います。マイクロ流体デバイスにより得られる単分散マイクロカプセルを鋳型にして、シェル内でゾル・ゲル反応を行うことにより大きさやシェル厚さを制御した中空微粒子作製プロセスの開発を目指します。
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