HOME 募集・表彰 新化学技術研究奨励賞 第2回新化学技術研究奨励賞


各種募集

第2回新化学技術研究奨励賞

第2回新化学技術研究奨励賞の受賞者は、厳正なる審査の結果、以下のように決定しました。
受賞者の皆様、おめでとうございます。
また、多数のご応募を頂き、ありがとうございました。

課題1:特殊反応場を利用した低環境負荷製造プロセス実現のための触媒に関する研究
 大阪大学大学院工学研究科 森 浩亮
  『構造規制剤ミセルにより構築された特異的ナノ細孔反応場中での新規触媒反応』

課題2:日本のものづくり強化と新産業創出に資する「新素材」実現のための基礎的・基盤的研究
 名古屋大学物質科学国際研究センター 瀬川 泰知
  『カーボンナノリングを種とするカーボンナノチューブの精密有機化学合成』
 筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構 沓村 憲樹
  『新奇L字型縮環化合物ライブラリーの構築と構造物性相関研究』
 東京工業大学大学院理工学研究科 平田 修造
  『メタルフリーの低閾値非線形吸収材料の開発』

課題3:材料の構造形成と物性予測に関する計算科学的研究
 東北大学大学院工学研究科 岡部 朋永
  『階層的モデリングに基づく車体構造用繊維強化可塑性プラスチックの耐久性評価』

課題4:生体分子の構造や生体機能からの着想・模倣に基づき、実用化を目指した新規機能性材料の研究
 九州大学大学院工学研究院化学工学部門 星野 友
  『プロトンポンプを模倣した熱駆動プロトン輸送膜の開発』

課題5:バイオプロセスによる新規な高効率物質生産システムの構築に関する研究
 京都大学大学院農学研究科産業微生物学講座 日比 慎
  『水酸化反応に有効な新規代謝経路を付与した生体触媒による産業的生産システムの構築』

課題6:環境・エネルギー、医療・福祉および安全・安心生活空間など新たな分野におけるMEMS技術に関する研究
 東京大学先端科学技術研究センター 池内 真志
  『膜MEMS技術を用いた胚様体自動培養チップの開発』

課題7:スマート社会を目指したフレキシブルデバイスとその材料、製造技術に関する研究
 京都大学化学研究所 若宮 淳志
  『高い電荷輸送特性をもつ低バンドギャップ材料の創製』

課題8:創電・エネルギー貯蔵分野における革新素材・技術に関する研究
 鳥取大学大学院工学研究科化学・生物応用工学専攻応用化学講座 薄井 洋行
  『ケイ素とルチル型酸化チタンの複合化に基づく次世代蓄電池用負極の創製』

課題9:非可食系バイオマスを原料とする燃料・材料・化学品の高効率、低環境負荷製造技術に関する研究
 該当者無し

課題10:新しい資源代替材料・技術の創成、及び資源の回収・再利用に関する基礎研究
 該当者無し

課題11:グリーン・イノベーションを推進する実効的な資源循環・プロセス・評価技術に関する研究
 該当者無し

特別課題:東日本大震災からの復旧・復興に貢献する化学技術に関する研究
 京都大学生存圏研究所 上田 義勝
  『福島県復興のための微細気泡水技術の利用(除染・農業)』


第2回新化学技術研究奨励賞の審査委員は以下の通りです。
(敬称略 所属、役職は、審査委員会時点のものです)

株式会社カネカ 取締役 専務執行役員 永野 廣作
北九州産業学術推進機構 理事長 国武 豊喜
量子化学研究協会 理事長(京都大学名誉教授) 中辻 博
中部大学 環境生物学科 教授(名大名誉教授) 山根 恒夫
独立行政法人 物質・材料研究機構 理事 曽根 純一
大阪大学 名誉教授 柳田 祥三
産業技術総合研究所 環境管理技術部門 部門長 田尾 博明
日産化学工業株式会社 取締役 研究企画部長 水流添 暢智




【2012年度新化学技術研究奨励賞 受賞研究の紹介】

課題1:特殊反応場を利用した高選択性触媒プロセスに関する研究
構造規制剤ミセルにより構築された特異的ナノ細孔反応場中での新規触媒反応
大阪大学大学院工学研究科
森 浩亮
 この度は、第2回新化学技術研究奨励賞に採択頂きまして誠にありがとうございます。本研究は、再利用可能なミセル内包触媒という、全く新しい機能をもった触媒開発の斬新で画期的な方法論を提供することを目的としています。不要あるいは反応を阻害すると考えられていた構造規制剤に用いる界面活性剤が、実は触媒反応性を向上させる特異な反応場を提供するという、これまでの常識を覆す結果に基づいており、その原理の解明、各種触媒反応への拡張を行います。
課題2:日本のものづくり強化と新産業創出に資する「新素材」実現のための基礎的・基盤的研究
カーボンナノリングを種とするカーボンナノチューブの精密有機化学合成
名古屋大学物質科学国際研究センター
瀬川 泰知
 このたびは第2回新化学技術研究奨励賞にご採択いただきありがとうございます。本研究では有機合成化学を取りいれることによってカーボンナノチューブを精密に合成することを目標としております。今回の受賞をさらなる励みとし、今後とも研究に邁進していきたいと思います。
新奇L字型縮環化合物ライブラリーの構築と構造物性相関研究

筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構
(元 東京理科大学理学部)
沓村 憲樹
この度は第2回新化学技術研究奨励賞に選出して頂きまして誠に有難うございます。我々は独自の新規反応によって、骨格がL字型構造をしているユニークな分子の高効率的な合成法を確立しました。この新奇L字型縮環化合物に新しい低分子蛍光材料としての可能性を見出し、実用化に向けた第一歩として構造と物性の相関関係を探索します。本研究は、分子の形状に基づいた蛍光・電子物性チューニングの方法論の開拓を目指すものであり、新しい機能を持つ材料の開発に貢献出来れば幸いです。
メタルフリーの低閾値非線形吸収材料の開発
東京工業大学大学院理工学研究科
平田 修造
 この度は第2回新化学技術研究奨励賞に採択頂き有難うございます。本研究では、我々の身の回りで広く用いられる非コヒーレントの光で大きな非線形吸収特性を示す有機材料の創製に取り組みます。このような材料は、発光ダイオードのような小型の光源からの光強度変化や、日差しの強さ応じて色や色の濃さが変化するので、我々のライフスタイルを変える新しい発色材料になると考えられます。有機分子の光化学過程を制御することで、弱い光に応答する有機非線形吸収材料の開発を目指します。
課題3:材料の構造形成と物性予測に関する計算科学的研究
階層的モデリングに基づく車体構造用繊維強化可塑性プラスチックの耐久性評価
東北大学大学院工学研究科
岡部 朋永
 この度は、第2回新化学技術研究奨励賞を頂き、誠にありがとうございます。本研究は、比較的塑性変形が可能な高分子樹脂を用いた自動車用繊維強化プラスチックを対象に、その破壊特性および耐久性の評価を実施します。特に、車体構造レベルから分子レベルに渡る3つのスケール(車体・構造部材、マイクロ、分子・原子)を階層的に体系化した独自の手法を用い、変形・破壊・寿命に関する特性を評価する予定です。
課題4:生体分子の構造や生体機能からの着想・模倣に基づき、実用化を目指した新規機能性材料の研究
プロトンポンプを模倣した熱駆動プロトン輸送膜の開発
九州大学大学院工学研究院
星野 友
 この度は第1回新化学技術研究奨励賞に採択いただき、大変感謝しております。細胞膜上のタンパク質であるプロトンポンプは光エネルギーを高効率にプロトンの濃度勾配に変換しています。本研究では、プロトンポンプの分子メカニズムを模倣して、温度差をプロトン濃度勾配に変換する膜を開発します。本材料は安価なモノマーのみを原料にして一段階の反応で合成可能のため、水処理や淡水化、電解用の材料として広く応用できると期待されます。
課題5:バイオプロセスによる新規な高効率物質生産システムの構築に関する研究
水酸化反応に有効な新規代謝経路を付与した生体触媒による産業的生産システムの構築
京都大学大学院農学研究科
日比 慎
 この度は第2回新化学技術研究奨励賞を賜りまして、大変に光栄に存じます。本研究では、水酸化酵素の一種であるFe/αKG-DOを産業用生体触媒として有効に活用するため人工的代謝経路の導入を行います。まずは水酸化アミノ酸発酵生産菌への代謝酵素類の導入により、新規有用化合物の大量生産システムの構築を目指します。さらに循環型のαKG供給系路の導入により、酵素法におけるFe/αKG-DO反応の効率化を目指します。
課題6:環境・エネルギー、医療・福祉および安全・安心生活空間など新たな分野におけるMEMS技術に関する研究
膜MEMS技術を用いた胚様体自動培養チップの開発
東京大学先端科学技術研究センター
池内 真志
 この度は第2回新化学技術研究奨励賞にご採択頂き、誠にありがとうございます。本研究では、再生医療研究の効率化を目指し、独自に開発した膜 MEMS技術を用いて、胚様体を自動的に大量生産・個別操作できるチップを開発します。直交流路系と水圧駆動膜アクチュエータにより、大量生 産した胚様体の中から任意の胚様体を選択し、液性因子による分化誘導や、電極による刺激を加えられる、手のひらサイズのチップを実現します。
課題7:スマート社会を目指したフレキシブルデバイスとその材料、製造技術に関する研究
高い電荷輸送特性をもつ低バンドギャップ材料の創製
京都大学化学研究所
若宮 淳志
 この度は、第二回新化学技術研究奨励賞に採択頂きましてありがとうございます。本研究では、分子内で窒素からホウ素への配位結合を用いたC=N結合を含むπ共役系骨格のπ電子構造の制御法や、準平面型構造および擬平面構造に着目した独自の分子設計概念に基づいて、高い電荷輸送特性と特異な光吸収特性を併せもつ新規材料の開発に取り組みます。これを用いて、有機薄膜太陽電池の飛躍的な高性能化を目指します。
課題8:創電・エネルギー貯蔵分野における革新素材・技術に関する研究
ケイ素とルチル型酸化チタンの複合化に基づく次世代蓄電池用負極の創製
鳥取大学大学院工学研究科
薄井 洋行
 大変栄誉ある研究奨励賞を授与頂き身に余る光栄に存じます。本課題では、格段に高いLi拡散係数を持つルチル型TiO2を活物質に採用し、低コストかつ大量合成が可能なゾル−ゲル法を用いてこれをSi粒子上に直接被覆した上で複合厚膜負極とします。化学産業界からの要望に沿うため、Li拡散性を高めSiの持つ高容量を最大限に活かすことで、廉価でありながら革新的高性能を有する次世代負極の創製に挑みます。この受賞研究に関して貴重な御助言を賜りました坂口裕樹教授に深謝申し上げます。
課題9:非可食系バイオマスを原料とする燃料・材料・化学品の高効率、低環境負荷製造技術に関する研究
該当者無し
課題10:新しい資源代替材料・技術の創成、及び資源の回収・再利用に関する基礎研究
該当者無し
課題11:グリーン・イノベーションを推進する実効的な資源循環・プロセス・評価技術に関する研究
該当者無し
特別課題:東日本大震災からの復旧・復興に貢献する化学技術に関する研究
福島県復興のための微細気泡水技術の利用(除染・農業)
京都大学生存圏研究所
上田 義勝
 この度は第2回新化学技術研究奨励賞を受賞させて頂き、心より感謝申し上げます。我々は東日本大震災直後から福島県との連携支援研究として、マイクロメートル以下の微細気泡を含んだ水を用いる事で、除染実証事業や農業応用利用研究に活かしてきました。本課題では、微細気泡水の基礎特性を電気伝導度や誘電率を基本とした電気化学的側面から研究し、その原理を明らかにしつつ、更なる効率化と将来の大規模利用を目指します。


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