第3回 JACI / JST 交流セミナー 「革新的触媒」(さきがけ)&「先導的物質変換領域」(ACT-C)研究者との集いの詳細


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イベント名 第3回 JACI / JST 交流セミナー 「革新的触媒」(さきがけ)&「先導的物質変換領域」(ACT-C)研究者との集い
日時 2018-03-08 13時30分~18時00分
場所 当協会会議室
概要 (受付は13:00からとなります)

開催趣旨:
さきがけ「革新的触媒の科学と創製」では、メタンや低級アルカン等の炭素資源を、化成品原料やエネルギーへ効率的に変換するための革新的な触媒の創製に取り組んでいます。計算科学や計測技術分野などと連携して、触媒科学の新たな方法論を切り拓き、将来的に、化学産業を変える可能性を持つような挑戦的・独創的な研究を推進しています。
また、ACT-Cでは、低炭素社会の実現や医薬品・機能性材料等の持続的かつ発展的な生産など、我が国のみならず世界が直面している諸課題の解決に貢献しうる、触媒による先導的な物質変換技術の創出を目指した研究を進めています(2017年度末まで)。
本イベントでは、「さきがけ」と「ACT-C」で推進中の研究内容をJACI会員の方々に知っていただくことで、研究成果の展開や今後の産学交流を促進することを狙いとしています。なお今回は、次代の触媒化学、材料化学、有機合成化学を担う気鋭の研究者による発表を中心に構成しています。研究内容はもとより、今後にわたった研究者間交流を深めていただくことを見据え、会員企業における研究開発を実施する若手研究者・リーダーの積極的なご参加を期待しております。

プログラム:
13:30~13:40  〇
開会挨拶・趣旨説明  北川 宏 氏 (京都大学大学院 理学研究科 教授)

13:40~14:05 研究発表(1) 〇
発表者: 天野 史章 氏 (北九州市立大学 国際環境工学部 准教授)
演 題:可視光によるメタンの活性化とエタンへの直接変換
要 旨:気相中のメタン分子をメチルラジカルに活性化するため,固体電解質膜の両側にn型半導体電極と白金触媒電極を有する膜電極接合体および光電気化学セルを開発した。可視光を吸収できる酸化タングステンを半導体として採用し、気相反応に適した多孔質電極を調製した。印加電圧1.2 Vにて青色光を照射したところ、光電変換効率11%でメタンの光電解酸化反応が進行し、炭素基準の選択率53%にてエタンが生成することがわかった。

14:05~14:30 研究発表(2) 〇
発表者: 鎌田 慶吾 氏 (東京工業大学 科学技術創成研究院 准教授)
演 題:金属酸化物触媒の設計と反応開発-分子性クラスターから固体触媒へ-
要 旨:我々は、金属酸化物でありながらアニオン性クラスター分子である「ポリオキソメタレート」を基盤とした高機能触媒の開発を行ってきた。また、これら分子触媒研究で得た知見を生かした新しい固体触媒開発にも着手し、酸素酸化触媒として機能する「ペロブスカイト型酸化物」や二元機能酸・塩基触媒として機能する「金属ホスフェート」を開発している。本講演では、これら金属酸化物材料による特異的触媒作用について紹介しつつ、それら材料・反応開発の設計指針について議論する。

14:30~14:55 研究発表(3) 〇
発表者: 田村 正純 氏 (東北大学大学院 工学研究科 助教)
演 題:二酸化炭素の非還元的変換による有用化学品合成に有効な酸化セリウム触媒系の開発
要 旨:二酸化炭素を有用化成品に変換する技術は、持続可能な社会の実現のために有効な手段となり得る。その変換手法として還元的変換と非還元的変換が挙げられるが、我々はエネルギー投入が抑えられる非還元的手法に着目し、触媒系の開発を行ってきた。二酸化炭素とアルコール、アミンからの直接カーボネート、カーバメート、アルキル尿素合成に酸化セリウムから成る触媒系が有効であり、特に平衡制約の厳しい反応系では、脱水剤として2-シアノピリジンを組み合わせた触媒系が有効であることを見出した。

14:55~15:20 研究発表(4) 〇
発表者: 本倉 健 氏 (東京工業大学 物質理工学院 准教授)
演 題:固体表面での協奏的触媒作用を利用した高効率有機合成反応の開発
要 旨:固体表面へ金属錯体や有機分子を集積することで、それら活性点の協奏効果により、種々の有機合成反応が極めて効率よく進行する。メソポーラスシリカにPd錯体とアミノ基を固定した触媒は、求核剤のアリル化反応に高い活性を示し、ハロゲンフリーのエポキシ樹脂前駆体モノマー合成を達成した。Rh錯体とアミノ基をシリカ表面へ配置した触媒は、オレフィンのヒドロシリル化反応を効率よく進行させ、Rh基準の触媒回転数は最高で190万回に達した。

15:30~16:20 ポスター発表ショートプレゼンテーション(各4分)
研究発表(5)
発表者: 菊川 雄司 氏 (金沢大学 理工研究域 助教)
演 題:配位形態制御に基づくバナジウム酸化物クラスターの機能開発
要 旨:バナジウム酸化物は四面体VO4、四角錘VO5、八面体VO6の配位形態を示し、縮合することで、様々な形状を作り出す無機分子である。合成したクラスターのVO4ユニットは、Lewis塩基、VO5ユニットはLewis酸、VO6ユニットはBr?ndsted酸塩基として働き、さらにバナジウム由来の酸化還元能を有する。バナジウムの配位形態を制御することで狙った機能を発現させる研究について紹介する。

研究発表(6)
発表者: 石塚 智也 氏 (筑波大学 数理物質系 講師)
演 題:四重縮環ポルフィリン金属錯体の酸化還元特性
要 旨:本研究では、ポルフィリンの外周部に4つの五員環縮環構造を有する四重縮環ポルフィリン(QFP)を配位子とする亜鉛錯体、コバルト錯体、鉄錯体の合成を行い、酸化還元特性などを検討した。その結果、QFPの菱形に歪んだ配位構造による中心金属のルイス酸性の向上が明らかになった。また還元されやすいQFP配位子の性質を生かして、コバルト錯体では、軸配位子の選択により分子内電子移動による原子価互変異性が確認された。

研究発表(7)
発表者: 大洞 光司 氏 (大阪大学大学院 工学研究科 助教)
演 題:ヘムタンパク質の化学的・遺伝子工学的改変による人工酵素の開発
要 旨:鉄ポルフィリンであるヘムは生体内でタンパク質に取り込まれ、酸素貯蔵/運搬、電子移動、物質変換等の機能を示す。タンパク質によるヘムの物性および反応性の制御に注目して、本研究ではヘムを人工金属錯体に置換した再構成ヘムタンパク質の研究を実施している。この手法により、アルカン類の水酸化等の反応を触媒する人工酵素を作成している。発表では、ヘムタンパク質を基盤とするバイオマテリアルの開発についても報告する。

研究発表(8)
発表者: 稲垣 怜史 氏 (横浜国立大学大学院 工学研究院 准教授)
演 題:TiCl4処理によるZSM-5ゼオライトの固体酸触媒特性の制御
要 旨:ZSM-5ゼオライトは石油精製・石油化学プロセスで多用されている実用触媒である。ZSM-5にTiCl4蒸気処理を行った試料(TiCl4/ZSM-5)では,もとのZSM-5とは異なる骨格内Al分布となることを27Al MAS NMR測定によって見出した。このTiCl4/ZSM-5では,ethylene-to-propyleneないしdimethyl ether-to-olefinの各触媒反応を通じて,エチレンの活性化・生成を抑制できる可能性が示唆された。

研究発表(9)
発表者: 藤枝 伸宇 氏 (大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科 准教授)
演 題:高難度反応へ向けた金属タンパク質の活用方法
要 旨: 我々のグループではメタンの水酸化を初めとし、高立体選択的反応など様々な高難度反応系の構築を目指し、タンパク質の利用方法や人工的な構築方法の確立に取り組んでいる。本発表では、非常に難しい反応を温和な条件下で効率よく触媒する複核金属酵素の大量調整法や改質方法に加え、タンパク質を配位子とし、貴金属を含めた様々な触媒反応への活用方法についてまとめ、今後の展望などと合わせて議論する予定である。

研究発表(10)
発表者: 宮内 雅浩 氏 (東京工業大学 物質理工学院 教授)
演 題:安価で安定な無機材料をベースとした人工光合成システム
要 旨:安価・安定・無毒な元素からなる材料で、植物と同様に水を電子源としてCO2を還元する光触媒システムを開発した。銅系の金属間化合物をベースにCO2から一酸化炭素(CO)ないしギ酸(HCOOH)へと選択的に還元できる助触媒ナノ粒子を開発し、この助触媒を光吸収材料であるカルシウム・鉄系酸化物(CaFe2O4)に担持した。これらの材料を元にZスキームシステムを構築し、可視光の照射でCO2を還元すると同時に酸素を生成することを確認した。

研究発表(11)
発表者: 羽村 季之 氏 (関西学院大学 理工学部 教授)
演 題:円盤状型芳香族ポリケトン類の合成とリチウムイオン二次電池への応用
要 旨:有機分子を活物質として用いる有機リチウムイオン二次電池は、大容量の次世代型二次電池として注目されている。これまでに我々はイソベンゾフラントリマーの三重環化付加反応を基盤として円盤状型ポリケトン類の合成に成功している。今回我々は、ポリケトン類の電気化学特性を調査する中で、これがリチウムイオン二次電池の正極活物質として優れていることを見出したので、報告する。

研究発表(12)
発表者: 脇岡 正幸 氏 (京都大学 化学研究所 助教)
演 題:高性能直接的アリール化重合触媒の開発
要 旨:有機電子デバイスの構成材料として期待されているπ共役系高分子は、主にStilleカップリング重合により合成されてきた。しかし、有機スズモノマーの合成と精製に労力を要し、毒性の強いMe3SnBrを副生するなどの点で、来るべき実用化には適していない。一方、我々は、C-H結合活性化を素反応とする直接的アリール化に高性能な触媒を開発し、短工程で共生成物の少ない、工業的にも魅力的なπ共役系高分子の新合成法(直接的アリール化重合)を開発した。

研究発表(13)
発表者: 藤川 茂紀 氏 (九州大学 カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所 准教授)
演 題:自立性ナノ薄膜による低エネルギーCO2分離の実現
要 旨:地球温暖化の主要因であるCO2を回収(大気放出しない)するため、溶液吸収・固体吸着・膜分離が提案されている。特に膜分離は原理的に省スペース・低エネルギーでCO2回収が可能であり、最も注目を集めているものの、透過ガス流量が極めて低いため実用に至っていない。そこで我々は、選択的透過性をもちつつも極限まで薄膜化した自立性ナノ膜を使い、低圧力差でのCO2分離を実現したのでそれを紹介する。

研究発表(14)
発表者: 深澤 愛子 氏 (名古屋大学大学院 理学研究科 准教授)
演 題:硫黄を含むπ電子系の化学の新展開
要 旨:チオフェンやTTFを始めとする含硫黄π電子系は優れた物性と高い熱・化学的安定性をあわせもち,有機半導体や分子性導体の基幹材料として既に中心的な役割を果たしている.一方でこれらの分子設計は,硫黄の非共有電子対とπ電子系との軌道相互作用に依存している.これに対して我々は,硫黄の多彩な特徴に着目した新たな切り口により,縮合多環式π電子系の新たな合成法の開拓,新奇な電子受容性π電子系の創製,ならびにπ電子系のための新たな可溶性置換基の開発に取り組んできた.本発表では,これらの分子設計の考え方とあわせて,最新の研究成果について紹介する.。

研究発表(15)
発表者: 川原 隆幸 氏 (科学技術振興機構産学連携展開部 イノベーション推進マネージャー)
演 題:産学連携の個別プロジェクトのJST支援制度
要 旨:大学や国研など公的研究機関の研究成果に基づく産学の共同研究の原資の一部として活用して頂ける、研究開発費の支援制度を紹介
(1) A-STEP機能検証:企業ニーズの解決のための学へのグラント、3百万円/10百万円・12ヶ月
(2) 未来社会創造事業『探索加速型』の探索研究:学and/or産へのグラント、総額60百万円・3年
(3) A-STEP産学共同・シーズ育成:産and学へのマッチングファンド、総額20~500百万円・max.6年度
※一部はFS採択:産and学へのグラント、20百万円・12ヶ月

16:30~18:00 ポスターセッション・交流会

申込締切り 3月6日(火)
 

参加費・懇親会費について 参加費: 会員:無料(会員リスト:http://www.jaci.or.jp/about/page_06.html)
      非会員:10,000円 (当日受付でお支払いください。)
懇親会費:無料
募集人数 100 人